■ギャッジベッドを用いて長期臥床者を仰臥位から座位にした直後に生じる可能性が最も高いのはどれか。
1.眼 振
2.脈の緊張低下
3.呼吸困難
4.項部硬直 |
2 |
1. |
(×) |
)眼振(眼球振盪)は、意思と無関係に起こる眼球の急激な往復運動(水平方向・垂直方向・回転性がある)である。大脳・小脳・脳幹などの障害による中枢性眼振や、内耳障害・視力障害などによる末梢性眼振に原因分類され、その多くが病的である。また、血圧低下によるめまいで眼振が生じることはない。 |
2. |
(○) |
脈の緊張度が低下し軟らかい感じの脈が触れる状態を軟脈といい、低血圧状態を示す。仰臥位から坐位に体位を変えた直後、心臓から下の部分の血液は重力に逆らうため心臓に戻りにくくなる。つまり、静脈還流量が減少するので血圧が低下する。特に、長期臥床すなわち重力の影響がない状態が続くと静脈血管壁の緊張度が低下するため、静脈還流がうまく行われず一時的に血圧が低下する可能性が高い。 |
3. |
(×) |
坐位をとることにより、腹部臓器が下がり横隔膜運動が容易になるため、呼吸はより安楽になる。 |
4. |
(×) |
項部硬直は、クモ膜下出血や髄膜炎があるときにみられる髄膜刺激症状であり、クモ膜下腔の炎症、出血、圧上昇によって起こる。自動的または他動的に頸部を前屈し顎が胸壁につけば正常であるが、髄膜刺激症状のある場合、項部の筋緊張が高まり無理に動かそうとすると痛みを伴うため、顎を胸壁につけることができない(項部硬直)。この患者に項部硬直症状が出現する可能性はない。 |
長期臥床により、座る・立つ・歩くなど地球上の重力に逆らう姿勢(抗重力姿勢)をとらない状態が続くと、循環調節機能をはじめ、抗重力状態を保つための様々なコントロール機能が低下し、いわゆる廃用症候群と呼ばれる全身の機能低下症状が出現する。 |