■大動脈炎症候群の患者。橈骨動脈での脈拍測定で触れが弱い場合、優先して行うのはどれか。
1.両側の橈骨動脈を同時に測定する。
2.心尖拍動と橈骨動脈とを同時に測定する。
3.同側の上腕動脈を測定する。
4.深呼吸を促して同じ部位で測定する。 |
1 |
1. |
(○) |
大動脈炎症候群では、病変が起こっている側の脈の欠損や、血行障害が起こる。両側の橈骨動脈を同時に測定することは、左右どちらの鎖骨下動脈に異常があるかの判断に用いられる。 |
2. |
(×) |
大動脈炎症候群は特に若い女性に好発するといわれているが、心尖拍動は成人、特に女性では皮下脂肪が厚いため触知しにくく、橈骨動脈の触知異常を知るためには好ましい測定ではない。 |
3. |
(×) |
同側の上腕動脈も、橈骨動脈と同じ鎖骨下動脈から分岐しているため、どちらにも症状がみられる可能性があり、正常との比較ができない。 |
4. |
(×) |
深呼吸をしても大動脈の炎症によって起こる橈骨動脈の触知異常は変化しない。呼吸と関連のある脈拍異常では、吸気時に脈拍が小さくなる場合は、心タンポナーデや収縮性心膜炎がある。 |
大動脈炎症候群は脈なし病と呼ばれ、大動脈から分岐する太い動脈に炎症性変化と閉塞をきたす疾患である。臨床症状は動脈病変の起こる領域に関連している。それを領域別にあげると、①総頸動脈病変、②冠動脈病変、③鎖骨下動脈病変、④腎動脈病変、⑤下行大動脈・総腸骨動脈病変が主な病変である。橈骨動脈の触知減弱は、鎖骨下動脈の炎症症状や狭窄・閉塞により起こる。 |