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4回 授業案:第3章 食事の援助技術
1.子どもへの食事援助の実際
学習項目
1. 子どもへの食事援助の実際
1)調乳
 (1)目的
 (2)準備するもの
 (3)実施方法
 (4)調乳に必要な基礎知識
2)授乳
 (1)目的
 (2)準備するもの
 (3)実施方法
 (4)授乳に必要な基礎知識
3)乳幼児の食事の援助技術
 (1)目的
 (2)準備するもの
 (3)実施方法
 (4)乳幼児の食事の援助に必要な基礎知識
今回の目標
清潔かつ正確な調乳方法を理解することができる.
授乳の目的をふまえ,安全・安楽な授乳の方法が理解できる.
離乳の進め方の目安に合わせた食事の援助技術を理解することができる.
使用する教材・準備物
テキスト: ナーシング・グラフィカ29 小児看護学 小児看護技術,メディカ出版
ナーシング・グラフィカ28 小児看護学 小児の発達と看護,メディカ出版
資料: 書き込み資料 
新生児モデル人形・乳児モデル人形  
調乳セット・消毒物品  
離乳食(レトルト食品・瓶製品など)  
食器セット  
資料映像: 「乳児の食事場面」
パワーポイント  
講義の工夫点・留意点
1. 食事援助の実際がイメージできることで,安全・安楽・自立・経済性を考えた技術が理解しやすいようにする.
2. 技術を通して,子どもにとっての食のもつ意味が考えられるようにする.
3. 学生自身が実践できると同時に,養育者への指導へとつながるように働きかける.
講義の評価視点
○学生への評価視点
1. 清潔かつ正確な調乳方法を理解することができたか.
2. 授乳の目的をふまえ,安全・安楽な授乳の方法が理解できたか.
3. 離乳の進め方の目安に合わせた食事の援助技術を理解することができたか.
4. 子どもにとっての食のもつ意味を考えることができる.

○教員への評価視点(自己評価)
1. 食事援助の実際がイメージでき,安全・安楽・自立・経済性を考えた技術として教授できたか.
2. 子どもにとっての成長・発達を促す看護は,きわめて重要であり,食のもつ意味を考える機会になったか.
学生への自己学習課題
○予習
テキスト(P.43〜58)を読んでくる.

○復習
1. 授業内容をもとに技術マニュアルを作成する.
1)調乳について
2)授乳について

段階
時間
指導内容
指導方法
留意点
導入
5分
学習目標の提示
板書(授業終了まで消さない)
学習目標
1.
清潔かつ正確な調乳方法を理解することができる.
2.
授乳の目的をふまえ,安全・安楽な授乳の方法が理解できる.
3.
離乳の進め方の目安に合わせた食事の援助技術を理解することができる.

説明
板書を使用し,本日の学習目標を説明する.

パワーポイント「学習目標
今回の学習を動機づける.
講義終了まで残し,終了時,学習の理解度を確認する.
第1
段階
24分
(3分)
子どもへの食事援助の実際
板書
子どもへの食事援助の実際
1. 調乳
2. 授乳
3. 乳幼児の食事の援助技術

説明
板書を使用し,本日の授業内容を説明する.

パワーポイント「子どもへの食事援助の実際
(3分)
1.
調乳
1) 目的
説明
調乳とは,脂肪・糖質・電解質などの配合を整え,過不足なく,ほどよい成分の人工栄養,すなわちミルクを作ることである.
目的については,テキストP.44「(1)目的」を読み上げ,アンダーラインの指示をする.
とくに清潔かつ正確に調乳を行うことが重要であることを強調する.

(3分)
2) 準備するもの
説明
テキストP.44 図3.1-1「調乳のために準備するもの」を参照しながら,調乳に必要な物品を提示し説明する.
強調する点は,お湯の温度である.ただし,一度沸騰し冷ましたものであること.
市販の計量スプーン(60gと100g用・計量とすりきりが同時にできるもの)を提示し,このようなものがあることを説明する.

(10分)
3) 実施方法
説明
テキストP.44「(3)実施方法」に沿って,実際に調乳を行いながら説明していく.
調乳で重要なことは正確に作ることであり,“正確に”とは,濃度を一定に保つことである.
人工栄養は,脂肪・糖質・電解質などのバランスを考え配合してあるので,一定の濃度を守る必要があることを説明する.
また,その方法として,スプーンで粉乳を量る場合,すりきりで量らなければならないことを説明する.
ミルクの温度調節は,人肌程度では学生に伝わりにくいので,
1. 上腕の内側にミルクを垂らす方法
2. 市販の温度測定バンド
の両方を紹介する.

(5分)
4) 調乳に必要な基礎知識
説明
テキストP.46 表3.1-1「母乳(成乳),牛乳の成分組織」,P.47 表3.1-2「調整粉乳の成分組織」を参照し,母乳と調整粉乳の相違点を説明する.
母乳と調整粉乳では,何がどう違うのか.注目してほしい項目は,
1. エネルギー
2.
3. ナトリウム
である.
エネルギーは,母乳が65kcalなのに対して,調整粉乳は65〜75kcalと高い.
鉄は母乳が微量なのに対して,調整粉乳は,0.7mg以上と多い.
ナトリウムは,母乳が15mgに対して,調整粉乳は,14〜42mgと幅があり量も多い.
また実習において,受け持ち新生児への看護として,新生児の体重減少のアセスメントをして,摂取カロリーの調整をすることが重要となるので,粉乳のエネルギーについては,よく理解しておくこと.

新生児の必要エネルギーについては,実習で実際に計算することを説明し,関心をもたせる.
第2
段階
37分
(3分)
2.
授乳
1) 目的
説明
授乳とは,新生児や乳児に乳を飲ませることである.
目的については,テキストP.47「(1)目的」を読み上げ,アンダーラインの指示をする.

(2分)
2) 準備するもの
説明
テキストP.47の物品(準備するもの)を読みながら,実物を提示し説明する.

(15分)
3) 実施方法
指示
学生1名を指名し,新生児モデル人形に授乳を実施してもらう.
「ではまず,皆さんの中から一人,この子のお母さんになってもらって授乳をしてもらいましょう」
「Aさん,お願いします」
「あなたはこの子のお母さんになって,ミルクを飲ませてあげてください.皆さんは,Aさんのお母さんぶりをよく見ておいてください」

発問
Aさんは,どのようなことを一番に思って授乳をしていましたか.

予想回答
「可愛いと思ってあげました」など,情意領域の回答
「むせないようにあげました」など,実施上の留意点などの回答

問いかけ
皆さんは,見ていてどう思いましたか.お母さんぶりは結構さまになっていましたよね.声かけは,とても上手でしたね.
では,テキストP.47〜49の「(3)実施手順」に従って,授乳の方法を見ていきましょう.

引き続き教員が授乳を実施してみる.
説明
正確な授乳の実施をテキストP.47〜49の「(3)実施手順」に従い,ポイントを確認しながら解説していく.
排気については,必ず解説に加える.

説明では,学生からの意見も入れ込みながら行う.
発問
排気とは,授乳後に吐乳を防ぐためにゲップをさせることですね.
では,なぜ排気をしなければならないのでしょうか.

指示
学生を指名し,排気がなぜ必要か,解剖学的な裏づけも加えて考えてもらう.

説明
ナーシング・グラフィカ28「小児看護学 小児の発達と看護」のP.73 図2.2-3「乳児の胃(実線)と成人の胃(点線)」を見せながら説明する.
新生児および乳児の胃の形は,成人と違い彎曲していない.したがって,胃内容物が逆流しやすいので,排気を十分にしておかないと吐乳や溢乳を招くことになる.

学生を数名指名し,回答させる.
排気の必要性は,乳児の胃の形状が関係している.
既習知識であるので,理解している学生は正解を答えてくれるが,答えられない学生もいるかもしれない.
発問
排気の方法は,なぜ顎をお母さんの肩に乗せないといけないのでしょうか.

説明
排気の時に気をつけてほしいのは,子どもの胃の部分をまっすぐにして,空気が排出しやすいようにすることである.
よくあることであるが,赤ちゃんを抱っこするときは,怖がるとどうしても抱えて抱っこしてしまいがちになる.抱えて抱っこすると赤ちゃんの鼻と口がお母さんの胸に密着してしまい,呼吸が息苦しくなるし,ゲップで出たミルクをまた誤って飲み込んでしまう.
このような理由から,赤ちゃんの顎をお母さんの肩にしっかり乗せ,楽に排気できる状態をつくることが必要なのである.

学生数名を指名し,回答させる.
(7分)
4) 授乳に必要な基礎知識
板書
人工栄養の適用
1. 母親,もしくは,新生児・乳児が隔離を必要とする急性伝染病である.
2. 母親が活動性結核などの慢性感染症に罹患している.
3. 母親が心疾患・悪性腫瘍など重篤な疾患に罹患し,授乳が負担になる.
4. 母親が内服している薬物が母乳に移行する可能性がある.
5. 母乳が不足している.

説明
テキストP.50「(4)授乳に必要な基礎知識」の人工栄養の適応を読みながらアンダーラインの指示をして説明する.

パワーポイント「人工栄養の適用
既習知識を引き出しなが説明し,基礎知識の大切さを理解させる.
発問
人工栄養の適応には,1〜5の5項目があります.そのなかで,2.の慢性感染症にはどのような感染症が該当しますか.感染経路という点から考えてみましょう.

予想回答
B型肝炎
C型肝炎  など

板書(黒板に)
[ヒト免疫不全ウイルス(HIV),成人T細胞白血病(HITL-V)]

指示
テキストに記入してください.感染症の代表的なものとして,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)・成人T細胞白血病(HITL-V)は知っておいてください.

説明
B型・C型肝炎は違うのかと思うかもしれないが,B型・C型肝炎の感染経路は産道感染である.一方,HIV,HITL-Vの感染経路は母乳感染であるので母乳での授乳が不可である.
この領域については,周産期(母性看護学)で詳しく学習することを説明する.
薬物については,精神疾患の薬や降圧薬,解熱鎮痛薬などがある.

クラス全体に問いかける.
(10分)
5) 消毒方法
板書
消毒の方法
1. 煮沸消毒
2. 次亜塩素酸ナトリウムによる消毒
3. 電子レンジを使用しての消毒

説明(実物を見せながら)
消毒の方法には,代表的なものとして,以下の3つがある.
1. 煮沸消毒
家庭ではお鍋等を利用する.
2. 次亜塩素酸ナトリウムによる消毒
商品名ミルトン®
3. 電子レンジを使用しての消毒
煮沸消毒の方法についてですが,配布した資料を参照させる.
重要なことは,火傷に注意することと,消毒時間である.
次亜塩素酸ナトリウムによる消毒であるが,臨床ではミルトン®と呼ばれている.指示通りの濃度の薬液を作り,水洗した哺乳瓶と乳首を薬液につける.気をつけてほしいことは,薬液から引き上げて水洗の必要がないことである.
電子レンジを使用しての消毒では,この袋に哺乳瓶を入れ,電子レンジで加熱する.
ミルトン®と電子レンジの消毒袋もこの後,教室に置いておくので,使用方法を読んで,見ておくこと.

パワーポイント「消毒の方法
資料「煮沸消毒の方法」を参照する.
後で,自分でゆっくり手に取って見ることで,より理解が深まる.
第3
段階
19分
(3分)
3.
乳幼児の食事の援助技術
1) 目的

説明
テキストP.50「(1)目的」を読み説明する.

(3分)
2) 準備するもの
説明
テキストP50 図3.1-2「さまざまな食器」を参照しながら,物品を提示し説明する.
乳幼児の食事の援助するには,図にあるような食器を使用する.素材はガラスや陶器のような割れるものは危険である.
食事の援助には,子どもが興味をもつことも大切で,可愛らしい絵が描かれている食器もある.
食器を手に取り,叩いてみせる.絵も見せるようにする.
コップは,片手で把持することは意外と難しいので,発達に合わせて,両手で把持できるようなコップを使用する.
コップを握って見せる.

(10分)
3) 実施方法
説明
乳児モデル人形を使いながら,テキストP.50〜57の「(3)実施方法」に沿って説明する.
食事の援助は,離乳各期の食物の形態を考えて援助の方法が工夫される必要がある.たとえば初期のペースト状だとスプーンを使うことになるし,後期のスティック状だと手づかみもできる.
乳児モデル人形に実際食べさせて,留意すべきことを説明する.
留意すべきことは,下記の点である.
1. 子どものペースに合わす.
2. 嚥下されているかを確認する.
3. 好んで食べているか観察する.
また,食事の時間は良いコミュニケーションであることから
1. 子どもと目線を合わせる.
2. 言葉かけをしながら食べさせる.
などに留意しながら,各自,実施手順をしっかり読んで理解すること.

離乳食の形態に応じた援助の方法が必要であることから,実物を見せながら実施の留意すべきことが考えられるようにする.
(3分)
4) 乳幼児の食事に必要な基礎知識
説明
摂取機能の発達については,テキストP.57 図3.1-3「摂食機能発達の概要」にまとめてある.
どのような順序で発達していくのか理解しながら読むように説明する.

資料映像「乳児の食事場面
まとめ
5分
授業のまとめ
説明
板書を提示し学習目標に沿って項目を説明する.
1. 清潔かつ正確な調乳方法を理解することができる.
2. 授乳の目的をふまえ,安全・安楽な授乳の方法が理解できる.
3. 離乳の進め方の目安に合わせた食事の援助技術を理解することができる.

課題
授業内容をもとに技術マニュアルを作成する.
1. 調乳について
2. 授乳について
マニュアル用紙を使用し,留意すべきことや,なぜかという根拠も考え作成すること.

予習
テキストP.58〜78を読んでくること.

学生からの質問があれば受ける.