ワード等のソフトをお持ちの場合ここをクリックするとこのページを開くことが出来ます。

9回 授業案:第2章 子どもの成長・発達と看護
3.幼児期の子どもの成長・発達と看護(2)
学習項目
3. 幼児期の子どもの成長・発達と看護
5)睡眠
(1) 幼児期の子どもにとっての睡眠の意義
(2) 睡眠に関わる幼児期の子どもの特徴
(3) 幼児期の子どもの睡眠のしつけ
(4) 睡眠に関わる問題
6)清潔
(1) 幼児期の子どもにとっての清潔の意義
(2) 清潔に関わる幼児期の子どもの特徴
(3) 清潔行動の自律と援助のポイント
(4) 子どもの感染予防
7)遊び
(1) 遊びの定義と意味
(2) 遊びの分類
(3) 遊びの発達
(4) 遊びへの援助のポイント
8)安全
(1) 子どもの事故の現状
(2) 子どもの事故の原因と特
(3) 事故防止と安全教育
今回の目標
幼児の睡眠と規則正しい生活の必要性を理解する.
幼児の健康維持に対する取り組みとしての清潔行動確立に向けた援助を理解する.
幼児にとって遊びの意義と発達を促すために必要な遊びの援助を理解する.
幼児に生じやすい事故の特性と,家族を含めた事故防止や安全教育の必要性を理解する.
使用する教材・準備物
テキスト: ナーシング・グラフィカ28 小児看護学 小児の発達と看護,メディカ出版
資料: http://www.niph.go.jp/soshiki/shogai/jikoboshi/public/ より下記に関する資料を作成する.
1.乳幼児事故の全国調査
2.年齢別事故の具体的な注意点
3.発生場所別事故と防止対策
資料映像: 幼児期の子どもの世界 
パワーポイント  
講義の工夫点・留意点
1. 幼児期の子どもにとっての睡眠,清潔,遊びの必要性を成長・発達との関連から考える.
2. 子どもの社会性・自立性,知的能力,運動能力,情緒など各種能力との関連を意識づける.
3. 「昨日できなかったことが今日できる」この時期の発達に伴って起こる事故が変わることを強調する.
講義の評価視点
○学生への評価視点
1. 講義内容は具体例・事例が提示され,わかりやすい.
2. 教員と学生が双方向的に関わっている.
3. 授業内容のまとまり,つながりがある.

○教員への評価視点(自己評価)
1. 教材の活用度と活用方法が適切である.
2. 具体例・事例による抽象と具象で説明できる.
3. 授業への学生参加の許否,学生の反応・意見を受け入れることができる.
学生への自己学習課題
○予習
テキスト(P.102〜116)を読んでくる.

○復習
1. 幼児期の発達の特徴と支援のポイントを整理する.
2. 以下の視点について整理する.
1)幼児期の子どもにとっての睡眠
2)幼児期の子どもにとっての清潔行動
3)幼児期の子どもに生じやすい事故と安全対策

段階
時間
指導内容
指導方法
留意点
導入
5分
学習目標の提示
板書(授業終了まで消さない)
学習目標
1.
幼児の睡眠と規則正しい生活の必要性を理解する.
2.
幼児の健康維持に対する取り組みとしての清潔行動確立に向けた援助を理解する.
3.
幼児にとっての遊びの意義と発達を促すために必要な遊びへの援助を理解する.
4. 幼児に生じやすい事故の特性と,家族を含めた事故防止や安全教育の必要性を理解する.

パワーポイント「学習目標
今回の学習を動機づける.
講義終了まで残し,終了時,学習の理解度を確認する.
第1
段階
15分
5.
睡眠
板書
睡眠
1. 幼児期の子どもにとっての睡眠の意義
2. 睡眠に関わる幼児期の子どもの特徴
3. 幼児期の子どもの睡眠のしつけ
4. 睡眠に関わる問題

パワーポイント「睡眠
1) 幼児期の子どもにとっての睡眠の意義
2) 睡眠に関わる幼児期の子どもの特徴
3) 幼児期の子どもの睡眠のしつけ
4) 睡眠に関わる問題
発問
子どもと大人とでは,寝る時間に違いがあるか.
寝るとどんな良いことがあるか.
あなたは普段どのくらい寝ますか.

説明
成人は6時間の睡眠時間でその周期を4回,8時間では約5回繰り返す.睡眠最初ではノンレム睡眠の段階3〜4という深い眠りが集中的に現れ,後のほうではレム睡眠が多くなる.新生児や乳児では短い周期(平均4.4時間)であり,授乳,おむつ交換,入浴以外は眠っていることが多く,18〜20時間は眠っている.
乳幼児期は新陳代謝も激しく運動も活発で,より多くの休養,睡眠が必要となる.4〜5歳ごろになると12時間前後の睡眠で昼寝はしなくなる.2歳以上の小児では成人に近い約70分周期を示すが,まだ深い睡眠の割合が多いのが特徴.一方,高齢者はノンレム睡眠の割合が減少し,途中覚醒も増加する.そのため夜間睡眠の質が低下する.
人間には1日の中で変化する「サーカディアンリズム(概日リズム,体内時計)」がある.眠っているときには成長ホルモン,朝目覚めるとストレスに対抗するステロイドホルモンが分泌される.このリズムは生体時計,24時間より少し長いリズムになっており,朝,日光を浴びることでリセットされる.
子どもにとっては,成長ホルモンの分泌に伴う身長発達の促進や,睡眠覚醒リズムの確立に伴う社会生活適応,最も発達の著しい時期にある脳の機能回復を助け,情緒や知能の発達を促進するといった,子どもの成長・発達や生活の質を高める.
睡眠に関わるしつけとしては,就寝・起床時の挨拶ができる,就寝・起床時間を一定にする.就寝時,活動時に適した衣類の交換が自分でできるようにする.

学生を2〜3名指名して,回答させる.
発問
子どもを早く寝かすコツはないものでしょうか.

学生を2〜3名指名して,回答させる.
説明
「早寝早起き」は子どもの健全な発達に欠かせない.よいっぱりだと肥満になりやすいという心配な報告もある.だが共稼ぎだと仕事で早く寝かせられないことも多い.夜更かしで困るという親の悩みも多い.
「子どものからだと心・連絡会議」1の「子どものからだと心白書2004」によると,夜10時以降に寝ている子どもは1歳児で約3割,2・3歳児では4割強に上る.
子どもを早く寝かせるコツは,個人差はあるが,
1. 朝7時起床など,早起きを習慣づける
2. 就寝2時間前から強い光を避けて静かに
3. 添い寝で本の読み聞かせやお話で気持ちを落ち着かせる
4. 頭や手などをそっとなでる
5. 眠るしつけや眠りに入る習慣づけ
6. 家事や仕事の手順を見直し,親も焦らない
などを心がけるとよい.

参考文献*1:子どものからだと心連絡会議編.子どものからだと心白書.ブックハウスHD,2005.
第2
段階
20分
6.
清潔
板書
清潔
1. 幼児期の子どもにとっての清潔の意義
2. 清潔に関わる幼児期の子どもの特徴
3. 清潔行動の自立と援助のポイント
4. 子どもの感染予防

説明
清潔習慣獲得のためには,大人が清潔な環境を整え,清潔が心地よいものであることを子どもに体感させることから始め,「汚い」と「きれい」という感覚を育てながら清潔行動に興味・関心を高め,子ども自身がその必要性を理解して自主的に日常生活のなかに組み込めるよう支援する.

パワーポイント「清潔
1) 幼児期の子どもにとっての清潔の意義
2) 清潔に関わる幼児期の子どもの特徴
3) 清潔行動の自律と援助のポイント
4) 子どもの感染予防
発問
子どもと大人とでは,皮膚・口腔内の機能に違いはありますか.

説明
幼児期は体表面積に比べて汗腺が多く,汗をかきやすい,新陳代謝も盛んで活動量が多いため皮膚は汚染されやすい.
皮膚の統合繊維間の間隙が多く,角質層も薄いため,保湿機能や機械的防護力が低く,皮脂の分泌量も少ないため皮膚表面がアルカリ性に傾き細菌への保護作用も弱い.外傷や感染を起こしやすい.
幼児期は唾液の分泌量が減り,口腔内常在菌叢の定着完了も生後19〜31か月であり,感染症を誘発しやすい.
乳歯の萌生や顎の成長に伴う口腔内環境の変化,食生活の変化(口腔内を酸性化する糖質摂取の増加)や口腔ケア能力の未熟さにより,虫歯をはじめとする感染症を誘発しやすい.
清潔行動には,洗顔・手洗い・洗髪・入浴など身体の清潔,歯磨きやうがいによる口腔内の清潔,清潔な衣服を身に着ける,身の回りの整理整頓をするという社会生活上必要な行為まで獲得すべき範囲は広い.
認知や微細運動が未発達な幼児期には困難なことも多い.

学生を2〜3名指名して,回答させる.
発問
上着を脱ぐこと,ひとりでボタンをかけるようになるのはいつごろでしょうか.

説明
1歳後期になると大人の行動を模倣したがるので,手本を見せたり,遊びのなかに取り入れたりする.服を脱ぐことも段階を追ってできるようになっていく.
3歳くらいでボタンかけやパンツを一人ではけるようになる.保育園実習に行くと3歳児の年少組と5歳児の年長組ではできることが増えていることがわかる.
「昨日できなかったことが,今日できている」と驚き体験をする.保育士さんたちは時間がかかってもできることをやらせながら,不足部分を補う関わりをしている.これが「しつけ」の基本.
テキストP.106 表2.3-11「清潔行動の発達の目安と援助のポイント」を参照する.

問いかけのみとする.
学生に子どもの発達を確認させる
発問
乳幼児期の子どもに感染症が多いのはどうしてでしょうか.

説明
幼児期の子どもは活動範囲の広がりに伴い,病原体に曝露される危険も広まる.また,免疫機能は未熟であり,感染予防行動も獲得段階である.
母親からの移行免疫(免疫グロブリンG,IgG)は生後6〜9か月ころに消費する.
子ども自身の免疫グロブリン(IgG・M・A)は生後7か月以降に増加,成人レベルに達するのは6〜8歳,生後6か月前後から免疫系・リンパ系が確立する8歳ころまではさまざまな感染症にかかりやすい.
個人の免疫力を高め,社会全体で伝染病の流行を阻止する目的で1948(昭和23)年に予防接種法が制定された.予防接種対象疾患はジフテリア,百日咳,ポリオ,麻疹,風疹,日本脳炎,破傷風の7つ.
結核予防法は1951(昭和26)年に制定された.BCGは2004年の改正法に基づきツベルクリン反応検査なしの直接接種法に変更され,生後1年以内の接種が義務づけられた.BCG再接種は効果がはっきりせず2003(平成15)年に廃止.結核予防法は感染症法に統合され,BCGは予防接種法で実施されることとなった.
ワクチンと接種間隔については,テキストP.110 表2.3-14「ワクチンの種類と接種間隔」を参照する.
予防接種の種類と留意点については,テキストP.110 表2.3-15「予防接種不適応者・要注意者」を参照する.
健康被害救済措置の充実として,1976(昭和51)年改正から予防接種法による健康被害の救済は国の責務とすることを法律の目的に追加された.

問いかけのみとする.
参考文献:鴨下重彦監.こどもの病気の地図帳.講談社,2002,P.7.
第3
段階
20分
7.
遊び
板書
遊び
1. 遊びの定義と意義
2. 遊びの分類
3. 遊びの発達
4. 遊びの援助のポイント

パワーポイント「遊び」「幼児期の子どもの世界
1) 遊びの定義と意味
2) 遊びの分類
3) 遊びの発達
4) 遊びへの援助のポイント
説明
ヨハン・ホイジンガが人間を「ホモ・ルーデンス」,ロジェ・カイヨワは社会学の視点から人間の遊びを「自由な活動,未確定の活動,非生産的な活動,規則のある活動,虚構の活動」と定義したように,遊びは人間の重要な特徴の1つである.
遊びは第1に年齢に応じて楽しみ,面白さを追求する活動であり,第2に遊びは本来自主的・自発的で自由な活動である.第3に身体的機能,能力の発達を促す活動,第4に知的能力を発達させ,第5は人と人とを結び,交友性や社会性を形成する遊びである(勅使氏).子どもはこの活動を通じて身体的・教育的・社会的・治療的な効果を得て成長・発達している.
テキストP.112 表2.3-17「遊びの効果」を参照する
遊びは4つに分類される.
テキストP.112 図2.3-3「遊びの発達的構造図」を参照する
パーテンは,遊びを社会的側面から分析し,遊びは子どもの成長とともに形を変えていくと述べている.
遊びへの援助としては,
1. 遊びを強制しない
2. 遊びの時間・場所・仲間を保障する
3. 失敗を責めない
4. 遊びを触発していく
5. 子どもの遊びを発展させる
の5つの視点で援助する.

参考文献:勅使千鶴.子どもの発達と遊びの指導.ひとなる書房,2003.
第4
段階
25分
8.
安全
板書
子どもの事故の現状
1. 子どもの事故の原因と特徴
2. 事故防止と安全教育

パワーポイント「子どもの事故の現状
1) 子どもの事故の現状
2) 子どもの事故の原因と特徴
3) 事故防止と安全教育
説明
日本の乳幼児事故の実態(資料1「乳幼児事故の全国調査」),事故の多い年齢は,1歳,2歳,0歳,3歳,4歳,5歳の順である.事故内容は転倒,転落,衝突,熱傷,誤飲,交通事故,はさむ事故,溺水,窒息である.事故発生場は,家庭内では居間,台所,階段,子ども部屋,玄関,浴室,ベランダなどであり,家庭外では道路,幼稚園・保育園,公園,店舗,公共施設,海・山・川など自然環境である.
子どもの事故の原因と特徴
1. 身体的特性として,運動機能の未熟性が事故につながる.危険を意識化してどのように回避するか体験を通して学ばせることが必要である.
2. 知的特性として,子どもの持つ万能感や好奇心は成長・発達の原動力なので大切にしつつ,子どもが起こしやすい事故を予測し,養育者の安全管理のもと子どもの“ヒヤリ・ハット体験”を生かし危険に対する注意力を身につけさせる必要がある.
テキストP.115 表2.3-19「子どもの事故の特徴」を参照する.

http://www.niph.go.jp/
soshiki/shogai/jikoboshi/
public/
の「母子保健事業のための事故防止指導マニュアル」を参照し資料を作成する.
参考文献:田中哲郎,新子どもの事故防止マニュアル,診断と治療社,2003.
指示
資料2「年齢別事故の具体的な注意点」を確認しましょう.

説明
事故防止方法として,教育/行動変容,立法/施行,工学/技術の3つのアプローチをどのように有効に組み合わせるかが重要である.
たとえば,チャイルドシートが有効となれば,多くの人にこのことを広め,使用してもらうための普及啓発を行う.それによってチャイルドシート使用へと行動変容がなされ,これが教育/行動変容にあたる.また,子どもをチャイルドシートに座らせることを義務づけ,実施してもらうための法律も必要で,これが立法/施行である.さらにより使用しやすく,安全性を増すための工学/技術の開発も重要となる.
安全教育は,子どもが安全に生活するために必要な事柄を理解し,安全に行動がとれるような態度や能力を身につけるための指導である.しかし,幼児はまだ十分に事故の現状や原因・要因を理解することができないので,事故防止の能力や態度が確実に身につく年齢に達するまでは,保護者が子どもの安全について十分に配慮することが必要である.
子どもたちが一時的にでも禁止を理解するのは1歳3か月以降とされ,命令を理解して行動できるようになるのは1歳6か月以降と考えられ,これらの年齢における禁止や命令の理解はその場限りとされ,一度守れたからといって長期に渡って持続し,維持されるものではない.

資料1と同様に「母子保健事業のための事故防止指導マニュアル」より作成する.
発問
資料3「事故発生場所と予防対策」には30か所,事故が発生しやすい場所があります.そこはどこでしょうか? また,事故を防ぐためにはどうすればよいでしょうか?

学生を2〜3名指名して,回答させる.
上記ホームページより「家庭内の絵〜危ないのはどこかな?〜」をもとに作成する.
まとめ
5分
授業のまとめ
説明
学習目標を確認する.
1. 幼児の睡眠と規則正しい生活の必要性を理解できる.
2. 幼児の健康維持に対する取り組みとしての清潔行動確立に向けた援助を理解する.
3. 幼児にとって遊びの意義と発達を促すために必要な遊びの援助を理解する.
4. 幼児に生じやすい事故の特性と,家族を含めた事故防止や安全教育の必要性を理解する.

課題
幼児期の発達の特徴と支援のポイントを整理する.
以下の視点について整理する.
1. 幼児期の子どもにとっての睡眠
2. 幼児期の子どもにとっての清潔行動
3. 幼児期の子どもに生じやすい事故と安全対策

予習
テキストP.117〜133を読んでくること.