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5分
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板書
学習目標
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1. |
高齢者に関する身体・精神・社会的な特徴について概要を説明できる. |
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2. |
高齢者を発達課題からとらえることができる. |
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3. |
高齢者に対するステレオタイプを抱くことの危険性が説明できる. |
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4. |
高齢者が社会全体の中でどのような状況に置かれているのか説明できる. |
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5. |
高齢者の人権が阻害されやすい理由を説明できる. |
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6. |
高齢者に対する虐待の実態とその背景を説明できる. |
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7. |
人権擁護のための制度について説明できる. |
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15分
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板書
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・ |
エリクソン |
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自我統合を確立することが老年期の適応課題 |
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・ |
ハヴィガースト |
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老年期の発達課題を6項目挙げている. |
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・ |
バトラー |
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エイジズム: |
ステレオタイプとして高齢者をみることを戒める. |
説明
○ |
エリクソン: |
自我統合とは身体的,精神的,社会的,スピリチュアル的に統合した自分を自覚し,人生を肯定的,積極的に受け入れる. |
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1.
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肉体的な力と健康の衰退に適応する. |
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2. |
引退や収入の減少に適応する. |
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3. |
配偶者の死に適応する. |
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4. |
自分と同じ年ごろの人と明るい親密な関係を築く. |
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5. |
社会的・市民的義務を引き受ける. |
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6. |
肉体的な生活を満足に送ることができるように準備する. |
○ |
バトラー: |
エイジズムとは,高齢者への差別や偏見,高齢者を一つの型にはめ排除する.老化のパターンも1.健康と病弱,2.分別がある人ない人,3.活動的な人無関心な人とさまざまなパターンがある. |
○ |
老人の95%は自立した生活をしており,施設などに入居している人の割合はわずかである.さまざまな変化を受け止めている人々を
十把一絡
に老人というグループとして扱うことは,高齢者を誤った見方でとらえる恐れがある.
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板書
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1. |
時間感覚の変化
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2. |
ライフサイクルの感覚
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3. |
人生回顧への傾斜
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4. |
償いと決意 |
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5. |
慣れ親しんでいるものへの愛着 |
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6. |
伝承のための保守主義 |
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7. |
遺産を残したい欲望 |
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8. |
権力の委譲 |
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9. |
人生を全うしたという感覚 |
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10. |
成長する能力 |
説明
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1. |
現在の時間を量より質で考える.
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2. |
心理的要素が働く(死に対する主観的自覚,世代間の歴史的なつながりの感覚,人間的な時間,人生経験の感覚,各時点で何を期待すべきかという知識の蓄積,すべての人が段階を経過する).
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3. |
過去の経験を意識する.
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4. |
罪悪感に責められて悔やまれたり,気持ちを整理したりする. |
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5. |
慣れ親しんだものは愛着,慰め,安心,満足感を与える. |
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6. |
後世に伝える機会 |
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7. |
受け継いだものを次世代につなぐ. |
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8. |
引き際を知る. |
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9. |
自分の人生に満足感を得る. |
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10. |
性格や挙動の変化は死ぬ瞬間まで続く. |
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10分
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板書
○ |
老年観
高齢者への見方,老いを人々がどのように感じ,どのような意識をもつか. ⇒ 社会状況,教育,年代によっても影響を受ける.
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説明
○ |
高齢者をどうみるかということは,その社会における高齢者の立場を反映したものととらえることができ,高齢者の自尊感情にも影響する. |
○ |
小中学生(肯定的),大学生(否定的),成人期(中庸),年をとるにつれまた肯定的となる. |
○ |
現代の日本では,高齢者を避けたり,邪魔にしたり,子ども扱いしたりし,介護問題や医療費の高騰をあたかも高齢者自身の問題としてしまっている傾向がある. |
○ |
高齢者蔑視は高齢者への理解不足ともいえるので,高齢者との接触が必要である. |
○ |
『老いることの意味』 |
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1. |
個人としての意味
人生が有限であり,自分の人生を振り返りまとめあげる.自分の人生に責任をもつ.
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2. |
社会における意味
老人が存在しなければ今の自分はありえない.人間らしさを全うすることは素晴らしい業績である.
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○ |
人間として範を示すことが高齢者の役割である.また高齢者にも自覚が必要である.
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○ |
高齢者を,
新老人運動:75歳以上を老人とする.
老:品がある.
練達:年功を経る.
OLD:賢い,思慮深い.
とプラスイメージでみていく.
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10分
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板書
○ |
高齢者が生活しやすい社会
日本は「年寄りを大切」にと言いながら,高齢者を無能扱いする風潮にある.
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説明
○ |
高齢者が暮らしやすい社会とは,高齢者が真に生きる意味を見いだせる. |
○ |
自立できる人は自立,自立できなければ家族の枠を超えて社会的に扶養するという原則を国民が認識し基盤を作る(医療制度・施設・年金などの社会保障). |
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板書
○ |
高齢者の意思を尊重するとは
家族が意思決定に関わることがあるので,高齢者本人の意思の確認が必要である.
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説明
○ |
高齢者の意思決定を大切にするといいながら,意思を確認しないまま道徳的判断や,周囲の条件のみで決めていないかを常に問いかけ行動していく. |
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1. |
家族の意思表示はあるが,高齢者の意思が家族と違うのではないかと思われるとき.
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2. |
積極的治療をいつ止めるのか,あるいは施設入所などで積極的治療を目指すのに支障があるようなとき.
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3. |
認知症などのために,高齢者の意思が明確でないとき.
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4. |
老年看護の方法として,どれがよりよい方法なのかが明確でないとき. |
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1. |
情報の正しい提供.相手の立場に立つ.
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2. |
問題を整理し,多面的な検討をする.
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3. |
高齢者や家族と順序だてて解決策を考える.
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10分
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板書
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1. |
身体的暴力
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2. |
情緒的・心理的暴力
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3. |
金銭的・物質的搾取
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4. |
性的暴力 |
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5. |
介護拒否・放任 |
説明
○ |
欧米では1970年代から研究報告されているが,日本では1990年代になって少しずつ調査されるようになった. |
○ |
認知症の症状のある人への虐待について |
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1. |
身体的暴力:暴力,火傷
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2. |
情緒的・心理的暴力:自尊心を傷つける,脅かし,言葉の暴力など
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3. |
金銭的・物質的搾取:財産・貯金を盗んだり,金銭管理を怠る.
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4. |
性的暴力:性的行為の強要 |
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5. |
介護拒否・放任:意図的に監禁したり拘束したりする. |
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この他,適切な看護をしないことも看護職としては虐待となる.
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○ |
この問題の背景
介護疲れ,若い頃からの関係(共依存)
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○ |
看護師の役割
体の傷,出血,火傷,衣服の汚れ,おびえるような行動,表情などを外来,訪問看護時,通所リハビリテーション時に観察する.
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○ |
解決策
チームでの対処を行い,両者の立場で考える.
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○ |
パワーポイント
「高齢者虐待の類型」
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○ |
関連した新聞記事があれば紹介する.また最近起こったニュースなどがあれば紹介する. |
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20分
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板書
○ |
身体拘束・身体抑制とは
身体を保護するため緊急やむをえない場合に行う方法である.
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説明
○ |
従来,意識障害や認知障害があり,医療行為を安全に行うことができないと予測される場合,高齢者が身体に障害があり,車椅子から転倒したり,一人で立ち上がったりして転倒の危険があり,危険が生じる場合に身体を拘束してきた.しかし,認知症の患者などは拘束することで,より症状が悪化することがあり.また何よりも人権の侵害,人間らしさを奪う行為という認識に立ち,身体の抑制を最小限にするように厚生(労働)省から厚生省令(1999年3月)として,拘束行為の廃止は推し進められている. |
○ |
看護者の問題では,病院組織の考え方で抑制が患者のためであるという誤った認識を取り除くことが必要である.人の目がない夜間の看護は非常に危険な状況になるなどの問題もあるが,抑制しないことでむしろ反対に患者に目を向けることができ,濃厚な看護ができるチャンスとしてとらえ,拘束廃止に取り組む施設も増えている. |
○ |
緊急で行う場合は,切迫性,非代替性,一時性という点での検討が必要ある. |
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○ |
「抑制廃止福岡宣言」のビデオ映像があれば視聴する.視聴を行った場合は,抑制の背景,抑制のデメリットを考えさせ発表させる.
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○ |
身体拘束の禁止 |
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15分
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板書
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財産管理,保健,医療,福祉サービスが受けられない恐れがあり |
説明
○ |
自分で正しい判断ができず,また保護してくれる関係者がいない高齢者の人権が尊重され,財産管理や適切な医療や福祉サービスが受けられるようなシステム作りがなされている.その背景には,判断能力がなくなった高齢者に対しての犯罪の増加や,何よりも高齢者の不安拡大などがある. |
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板書
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1991(平成3)年: |
東京都社会福祉協議会にて『権利擁護ステップ』として開設. |
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目的: |
認知症高齢者,知的障害者,精神障害者などの判断不十分な人が自立した福祉サービスの利用援助を受けられるように,当事者の権利擁護に資することを目的としている. |
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内容: |
福祉サービスの利用援助,日常的金銭管理サービス,書類預かりサービス,利用者とサービス実施機関との契約など |
説明
○ |
東京都社会福祉協議会での『権利擁護ステップ』にて,知的障害や認知症高齢者の相談を受けている.大阪市でも実施され介護保険制度が始まり全国的に広がり,日常生活自立支援事業として実施されている. |
○ |
事業内容: |
福祉サービスの利用援助,日常的金銭管理サービス,書類などの預かりサービス |
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板書
○ |
成年後見制度とは
判断力が不十分な認知症高齢者の財産管理や,介護,施設入所などが必要な人の権利を擁護する制度であり,民法で定められている.
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説明
○ |
民法にあった禁治産や準禁治産制度の廃止に伴い(2004年),保護者を高齢者が判断能力のあるうちに前もって後見人として決めることができる制度である.軽度の障害がある場合にも対応される. |
○ |
自己決定と本人の保護を重視している. |
○ |
成年後見制度とは判断能力が不十分な認知症高齢者,知的障害者や精神障害者などの保護(財産管理,身上監護)を,代理権や同意権・取消権が与えられた成年後見人等が行う制度である. |
○ |
家庭裁判所が成年後見人等を選任するが,『法廷後見』とあらかじめ本人が選ぶ任意後見とがある.法廷後見には判断能力に応じて後見,保佐,補助の3種類があり,任意後見とは本人の判断能力が不十分になった時に備えるものである. |
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5分
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説明
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1. |
高齢者に関する身体・精神・社会的な特徴について概要を説明できる.
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2. |
高齢者を発達課題からとらえることができる.
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3. |
高齢者に対するステレオタイプを抱くことの危険性が説明できる.
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4. |
高齢者が社会全体の中でどのような状況に置かれているのか説明できる. |
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5. |
高齢者の人権が阻害されやすい理由を説明できる. |
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6. |
高齢者に対する虐待の実態とその背景を説明できる. |
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7. |
人権擁護のための制度について説明できる. |
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復習
○ |
老年看護学に関する諸理論(とくにエイジズム,発達課題など)についてまとめる. |
○ |
以下の視点について整理する.
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1. |
高齢者をステレオタイプでみることの危険性
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2. |
倫理的視点からみた看護師の役割
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3. |
高齢者の社会的問題と解決への道筋
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4. |
高齢者の自己決定,人権擁護 |
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予習
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