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30分
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板書
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実習中の経験と事例研究について 昨日まで穏やかだった患者が清拭を断った.なぜケアを断ったのか.患者は清拭よりも休息がとりたかった.
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生命に直結する生理的ニーズと,その時の状態をアセスメントすることが重要だとわかった. |
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学部における事例研究について コミュニケーション障害をもつ療養者が意思伝達装置を使えるようになるまで援助したが,使える人と使えない人がいた.
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研究により,療養者はいくつかの課題を乗り越えて使えるようになったことを理解した.この課題に対して援助が必要だとわかった. |
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説明
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事例研究は,対象に起きていることを分析することにより対象の理解を深め,日ごろの看護を客観的に捉える機会となる. |
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テキストにあるように,患者にケアを断られ,対象を理解するためにアセスメントが重要だと気づく.あるいは,コミュニケーション障害をもつ療養者への援助を通して,装置を使用できるようになった時,療養者は意識もあり残存機能が十分にある方と改めて気づき,自分はこれまでサインに気づかず一方的にケアをしていたと気づくが,これらの気づきは,学生が出来事を客観的に分析し経験を知識として身につけるための重要な過程である. |
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その知識をもって患者にケアを実践することにより看護実践力は向上する.そのため,事例研究は看護実践力の向上のための第一歩と言える. |
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学生が得た情報や気づきに着目し抽象化して示すことにより,事実を受けとめ客観的に理解し,経験を知識として身につける過程を促進することが教員の役割であるということや,研究で得られた知識は,問題を客観的にとらえ解決方法を検討するときに役立つことを伝える. |
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事例研究は特別なものという思い込みにならないように,また単なる反省文とならないよう,当たり前のことに気づくことの重要性について説明をする. |
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事例研究は特別なものではなく,日々の看護の中に研究課題はある.経験したことを客観的に分析し知識として自分の中に蓄えること,そして他の人々と問題を共有し問題解決に向けて討論することによって看護の実践力向上につながることを説明する. |
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資料映像:「事例研究の実際」の0分40秒~11分20秒までを参照する. |
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説明
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研究の実際から気をつけたいこと,事例研究を通して学習できることを説明する. |
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テキスト上では14枚のスライドとして並んでいるが,研究計画書を作成し,調査を経て論文にするまで1年ほどかかり,論文を提出するまでには,50回ほど書き直しをしている.誰が読んでもわかるように自分の研究結果を述べるには,必要な時間である. |
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ここでは,研究の実際から気をつけたいことや,学習できることについて具体的に説明をする. |
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Aさんは,学部の卒業研究により意思伝達装置を使えるよう過程にはいくつかの課題があることがわかり,修士課程では,意思伝達装置使用継続者と使用中断者の違いは何かということについて事例研究を行った.その事例研究の実際から,気をつけたいこと,研究から得られる学びについて説明をする. |
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説明
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研究の意義・目的では,研究課題を絞り込む作業であり,研究の過程において最も重要な作業である. |
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研究課題は絞り込む作業は楽ではないが,ディスカッションや指導を受けることで徐々に絞り込むことができるということを説明する. |
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板書
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Aさんの例
1. |
協力依頼先施設に電話をする. |
2. |
協力が得られた場合には施設に行き研究の主旨を説明する. |
3. |
施設担当者が対象者に研究の説明をして研究協力の意思を確認する. |
4. |
施設担当者が研究者に研究協力の意思表明をした対象者を紹介する. |
5. |
研究者は意思表示をした対象者に電話連絡をして調査日を決める. |
6. |
面接調査当日は,研究の主旨と倫理的配慮について説明をして同意を得る. |
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説明
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面接調査のためには,多くのステップがあることを説明する. |
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学生は,研究協力の依頼をする際に,緊張して研究の主旨をうまく説明できない,断られてしまい次に電話をするのが怖い,など先に進めなくなることがある. |
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そのため,研究の主旨をうまく伝えるには事前の準備が必要であり,教員に相談するよう説明する. |
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説明
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面接で得られたデータを,結果のスライドのように分類整理するには時間がかかる.特に1例目は手順に慣れないので時間を要する.また,面接データの解釈や分類・整理ができず,先に進めないことがある. |
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2例目以降慣れてくると作業時間が短くなることや,データの解釈と分類・整理は,事実を歪めないために教員や専門家の意見を聞きながら行う必要があることを説明する. |
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説明
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ALSは希少な疾患であり,進行性で経過も長く,個人が抱える問題も複雑である.療養者が家族とともに歩んできた軌跡は個別性が強く.事例を分析することによって,事例同士の共通項や相違点を見いだすことができるという点が強みである. |
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限界は,少数例のため他の多くの患者にも共通するとは言えないことである. |
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説明
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事例研究では,対象者の日ごろの変化を時系列で分類・整理することによって対象者をより深く理解することができる.また,実施した看護を客観的に振り返ることができる. |
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経験したことを知識として蓄えることにより,次のケアに生かすことができる.1例1例の積み重ねが実践力の向上につながっていくということを説明する. |
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