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2回 授業案:第1-3章 呼吸・循環機能と障害−呼吸機能障害とその成り立ち(1)
学習項目
1. 呼吸のプロセスと機能障害
1) 呼吸のプロセスと機能障害の概要
(1) 呼吸のプロセスと生理的機能
(2) 呼吸器系を構成する器官と呼吸機能障害との関連性
2. 換気障害
1) 換気障害のメカニズム
2) 換気障害を起こしやすい疾患,症状とその治療
(1) 慢性閉塞性肺疾患
(2) 気管支喘息
(3) 結核
(4) 肺癌
3) 換気障害に対する援助
(1) 呼吸理学療法の援助
(2) 薬物療法への援助
(3) 在宅酸素療法の援助
(4) 気管支喘息の看護のポイント
(5) 胸腔鏡下手術後の合併症予防
3. 拡散障害
1) 拡散障害のメカニズム
2) 拡散障害を起こしやすい疾患,症状とその治療
(1) 肺水腫
(2) 間質性肺炎
(3) 急性呼吸窮迫症候群
3) 拡散障害に対する援助
(1)

慢性間質性肺炎などの慢性の拡散障害に対する看護のポイント

(2) 急性呼吸窮迫症候群などの急性の拡散障害に対する看護のポイント
4. ガス運搬の障害
1) ガス運搬障害のメカニズム
2) ガス運搬障害を起こしやすい疾患,症状とその治療
(1) 肺塞栓症
(2) 肺血栓塞栓症,肺梗塞
3) ガス運搬障害に対する援助
(1) 肺血栓塞栓症の看護のポイント
今回の目標
呼吸機能障害のメカニズムについて理解できる.
呼吸器系における各機能障害とその看護について理解できる.
換気障害,拡散障害,ガス運搬の障害について,機能の異常や障害が起こるメカニズムとその所見について理解できる.
使用する教材・準備物
テキスト: ナーシング・グラフィカ10 健康の回復と看護 呼吸・循環機能障害,メディカ出版
資料映像: 胸腔鏡手術
パワーポイント  
講義の工夫点・留意点
1. 各呼吸機能障害のメカニズムと症状,治療,看護が関連付けて理解できるよう講義する.
講義の評価視点
○学生への評価視点
1. 呼吸機能障害とそのメカニズムについて理解できたか.
2. 各呼吸機能障害のメカニズムと症状,治療,看護が関連付けて理解できたか.

○教員への評価視点(自己評価)
1. 各呼吸機能障害のメカニズムと症状,治療,看護が関連付けて理解できるよう教授することができたか.
学生への自己学習課題
○予習
テキスト(P.17〜36)を読んでくる.

○復習
1. 以下の視点について整理する.
1)換気障害のメカニズムとその症状,治療,看護
2)拡散障害のメカニズムとその症状,治療,看護
3)ガス運搬障害のメカニズムとその症状,治療,看護

段階
時間
指導内容
指導方法
留意点
導入
5分
学習目標の提示
板書(授業終了まで消さない)
学習目標
1. 呼吸機能障害のメカニズムについて理解する.
2. 呼吸器系における各機能障害とその看護について理解できる.
3. 換気障害,拡散障害,ガス運搬障害について,その機能異常や障害が起こるメカニズムとその所見について理解できる.

パワーポイント「学習目標
今回の学習を動機づける.
講義終了まで残し,終了時,学習の理解度を確認する.
第1
段階
10分
呼吸のプロセスと機能障害
板書
呼吸機能障害とは
テキストP.18 図1.3-1「呼吸プロセスの概要」を提示する.

説明
呼吸器は構造上,気道系と肺胞系に分けられるが,機能的には気道と肺胞と肺循環に分けられる.
呼吸器の大切な機能はガス交換であるが,このほか,生体防御機能,代謝機能もある.
肺の機能は,換気,ガス交換(拡散,換気−血流比),肺循環などのプロセスに分けられる.
肺の機能に,組織呼吸(内呼吸)のプロセスを含めたものを呼吸機能という.

パワーポイント「呼吸機能障害とは
1.
呼吸のプロセスと機能障害の概要
1) 呼吸のプロセスと生理的機能
説明
呼吸のプロセスについては,テキストP.18 図1.3-1「呼吸プロセスの概要」を用いて説明する.

2) 呼吸器系を構成する器官と呼吸機能障害との関連性
板書
呼吸器系と機能障害のイメージ図
テキストP.20 図1.3-2「呼吸器系と機能障害のイメージ図」を提示する.

説明
換気障害については,テキストP.20 図1.3-2「呼吸器系と機能障害のイメージ図」の(1)を用いて説明する.
ガス交換障害については,テキストP.20 図1.3-2「呼吸器系と機能障害のイメージ図」の(2)を用いて説明する.
ガス運搬障害については,テキストP.20 図1.3-2「呼吸器系と機能障害のイメージ図」の(3)を用いて説明する.
酸塩基平衡の障害については,テキストP.20 図1.3-2「呼吸器系と機能障害のイメージ図」の(4)を用いて説明する.

パワーポイント「呼吸器系と機能障害のイメージ図
第2
段階
25分
換気障害
1.
換気障害のメカニズム
板書
換気障害の分類
・閉塞性換気障害
・拘束性換気障害
・混合性換気障害
テキストP.22 図1.3-3「換気障害の分類」を提示する.

説明
換気障害の分類について,テキストP.22の図1.3-3「換気障害の分類」を用いて説明する.
換気障害のメカニズムについて具体例を挙げて説明する.たとえば呼吸筋に障害が起きた場合,どのようなメカニズムで換気障害が生じるのかを説明する.
スパイロメトリーにより測定された1秒率,%肺活量について,数値の意味を説明する.
スパイロメトリーにより測定された数値を,各換気障害の原因と関連付けて理解できるように説明する.
各換気障害の代表的な疾患について説明する.

パワーポイント「換気障害の分類
2.
換気障害を起こしやすい疾患,症状とその治療
1) 慢性閉塞性肺疾患
板書
慢性閉塞性肺疾患
テキストP.23 図1.3-4「COPDの臨床像に関する概念図」,表1.3-1「COPDの重症度分類(GOLD,2006改訂)」を提示する.

説明
慢性閉塞性肺疾患の病態について,テキストP.23の図1.3-4「COPDの臨床像に関する概念図」を用いて,また病態と症状を関連付けて理解できるように説明する.
慢性閉塞性肺疾患の病期・重症度については,テキストP.23の表1.3-1「COPDの重症度分類(GOLD,2006改訂)」を用い,病期に応じて必要な治療が理解できるよう説明する.

パワーポイント「慢性閉塞性肺疾患
2) 気管支喘息
板書
喘息の長期管理における重症度対応段階別薬物療法
テキストP.24 表1.3-2「喘息の長期管理における重症度に対応した段階別薬物療法」を提示する.

説明
病態については,病態と症状を関連付けて理解できるように説明する.
重症度については,テキストP.24の表1.3-2「喘息の長期管理における重症度に対応した段階的薬物療法」を用い,重症度に応じて必要な治療が理解できるよう説明する.

パワーポイント「喘息の長期管理における重症度に対応した段階別薬物療法
3) 結核
説明
病態については,病態と症状とを関連付けて理解できるように,また,治療について説明する.

4) 肺癌
板書
肺癌の病理組織型分類と特徴
テキストP.25 表1.3-3「肺癌の病理組織型分類と特徴」を提示する.

説明
病態については,テキストP.25の表1.3-3「肺癌の病理組織型分類と特徴」を用いて,肺癌の組織型とその特徴について説明する.
また,肺癌の治療と,病期に応じた必要な治療が理解できるように説明する.

パワーポイント「肺癌の病理組織型分類と特徴
資料映像「胸腔鏡手術
3.
換気障害に対する援助
1) 呼吸理学療法の援助
説明
口すぼめ呼吸,腹式呼吸の効果および方法について説明する.
気道分泌が増加している場合の,体位排痰法,催咳法の効果および方法について説明する.

2) 薬物療法への援助
説明
気管支拡張薬の効果および副作用について説明する.
副腎皮質ホルモン薬(ステロイド薬)の効果および副作用について説明する.
抗アレルギー薬の効果および副作用について説明する.
抗悪性腫瘍薬の効果および副作用について説明する.

3) 在宅酸素療法の援助
板書
在宅酸素療法の適応疾患
テキストP.139 表4-5「在宅酸素療法の適応疾患」を提示する.

説明
テキストP.139の表4-5「在宅酸素療法の適応疾患」を用いて,在宅酸素療法の適応基準について説明する.

パワーポイント「在宅酸素療法の適応疾患
4) 気管支喘息の看護のポイント
説明
症状が悪化すると窒息して死に至るため,発作時の対応や発作の予防について説明する.

5) 胸腔鏡下手術後の合併症予防
説明
胸腔鏡下手術の利点について説明する.
術後挿入される胸腔ドレーンの管理,呼吸器合併症(無気肺,肺炎)の予防について説明する.

第3
段階
25分
拡散障害
1.
拡散障害のメカニズム
板書
拡散障害とは
肺胞内空気と肺毛細血管との間でのガスの移動がしにくくなり,低酸素血症が起こる病態である.
テキストP.29 図1.3-5「拡散能に影響を与える要因」を提示する.

説明
拡散能に影響を与える要因についてテキストP.29の図1.3-5「拡散能に影響を与える要因」を用いて説明する.

パワーポイント「拡散障害とは
2.
拡散障害を起こしやすい疾患,症状とその治療
1) 肺水腫
説明
肺水腫の病態,症状,治療について,拡散能に影響を与える要因と関連付けて説明する.

2) 間質性肺炎
説明
間質性肺炎の病態,症状,治療について,拡散能に影響を与える要因と関連付けて説明する.

3) 急性呼吸窮迫症候群
説明
急性呼吸窮迫症候群について拡散能に影響を与える要因と関連付けて説明する.
急性呼吸窮迫症候群の症状,治療について,病態と関連付けて理解できるよう説明する.

3.
拡散障害に対する援助
1) 慢性間質性肺炎などの慢性の拡散障害に対する看護のポイント
説明
労作時に著しい低酸素血症を起こし,酸素吸入を必要とする場合が多いため,Spo2測定の必要性について説明する.
感染による急性増悪が生じるため,感染予防の必要性とその方法について説明する.
呼吸困難の軽減方法について説明する.

2) 急性呼吸窮迫症候群などの急性の拡散障害に対する看護のポイント
説明
人工呼吸器管理の必要性と管理について説明する.
感染予防の必要性とその方法について説明する.
全身管理の必要性とその方法について説明する.
栄養管理の必要性とその方法について説明する.
精神面のケアの必要性について説明する.

第4
段階
20分
ガス運搬の障害
1.
ガス運搬障害のメカニズム
説明
肺動脈が閉塞することによる病態像を,肺循環系と体循環系に分けて説明する.また,解剖生理と関連付けて病態が理解できるよう説明する.

2.
ガス運搬障害を起こしやすい疾患,症状とその治療
1) 肺塞栓症
説明
急性あるいは慢性の肺高血圧症をきたすため,肺塞栓症の病態について,解剖生理と関連付けて理解できるよう説明し,肺塞栓症の症状については,病態と関連付けて理解できるよう説明する.

2) 肺血栓塞栓症,肺梗塞
説明
肺血栓塞栓症と肺梗塞の病態について,解剖生理と関連付けて理解できるよう説明する.
肺血栓塞栓症と肺梗塞の症状・治療について,病態と関連付けて理解できるよう説明する.
治療について病態と関連付けて理解できるよう説明する.

3.
ガス運搬障害に対する援助
1) 肺血栓塞栓症の看護のポイント
説明
低酸素血症改善のための酸素療法の必要性について説明し,それに伴う呼吸困難への援助方法について説明する.
また,疼痛緩和の必要性についてや薬物療法への援助について,退院指導の必要性と方法について説明する.

まとめ
5分
授業のまとめ
説明
学習目標に沿って項目を説明する.

課題
以下の視点について整理する.
1. 換気障害のメカニズムとその症状,治療,看護
2. 拡散障害のメカニズムとその症状,治療,看護
3. ガス運搬障害のメカニズムとその症状,治療,看護

予習
テキストP.37〜P55を読んでくること.