現場レポート -被災地で救護活動を行って-

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熊本地震で何が起こり、何を行ったか
-エコノミークラス症候群の対応を中心に-
熊本市民病院神経内科 橋本 洋一郎

*著者のご厚意により、こちらに掲載させていただきます。


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熊本地震、5月15日以降のDVT患者発生なし
熊本地震後DVT検診結果

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熊本地震とKEEP project
熊本市民病院神経内科 橋本 洋一郎

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第18回日本医療マネジメント学会学術集会
平成28年熊本地震緊急報告会が開催される


2016年4月22日(金)・23日(土)、福岡国際会議場、福岡サンパレス(福岡市博多区)にて、第18回日本医療マネジメント学会学術総会が開催された。開催第1日目には直前に発生した「平成28年熊本地震」を受け、被災地の医師やDMAT、PCATとして既に現地入りした方々からの緊急報告会が開かれた。

(取材・文/ナーシングビジネス編集室)


 はじめに、特定非営利活動法人日本医療マネジメント学会理事長・宮崎久義さんが熊本市内で被災された様子を報告した。地震発生後、車中泊を経験したが、エコノミークラス症候群の危険性について一般の方の認識の低さに改めて気づき、周囲へ注意を促したという。ライフラインがストップし、食料・水などの物資が不足、避難所への支援物資配布が偏ったこと、TV・新聞による生活情報伝達は大変有効であったが、地震発生当初は不十分だったことなどを、被災者の目線から「困ったこと」として指摘した。

●DMAT活動報告
 飯塚病院(福岡県飯塚市)DMAT隊長・鮎川勝彦さんが、飯塚病院からDMATとして出動した活動報告を行った。4月14日、地震発生から約3時間半後、厚生労働省からDMATの派遣要請が出され、その約1時間後、福岡県知事からの要請を受けて出動。15日早朝の5時前には熊本赤十字病院に到着した。同院では、飯塚病院が開発した、緊急時にスタッフがどういう動きをとればよいかを示す「アクションカード」を使って、見事に対応していたという。被災した病院からの患者の搬送を行ったり、熊本赤十字病院に患者が押し寄せたためDMATによる診療を行ったりと、状況に応じて適宜対応した。DMAT、熊本赤十字病院ともに機能的に整然と対応できていたのは日ごろの訓練の成果とした。一方で、一次隊はほとんど準備もできずに出動するため、早期の人員交代を考慮することや、仮眠場所で上部にあったブロックが落ちてきたことから、意外と気づきにくい仮眠時の頭上注意を訴えた。
 飯塚病院DMAT隊員として活動に参加した看護師・森本秀樹さんは、出動要請された際、電話が不通であったため、LINEによる安否確認・近況報告が有効だったと報告した。また、準備に時間のかかる携行資機材・携行薬剤の事前準備が整っていたことで、早期出動が可能となったという。被災地では病院間の搬送を行うほか、各病院の状況が不明なため電話や直接訪問で調査をし、EMIS*の代行入力を行った。また、隊員の体調管理・防寒対策にも気を配り、活動は3交替で行っていたことなど、現地活動時の留意点にも触れた。

●PCAT先遣隊活動報告
 頴田かいた病院(福岡県飯塚市)・医師の吉田伸さんがPCAT先遣隊活動内容について報告した。2011年東日本大震災を受けて日本プライマリ・ケア連合学会より発足したPCATは、災害急性期だけでなく亜急性期から慢性期まで長期に渡る医療・保健支援、多職種による幅広い支援を行うことを目的に、活動継続している。  地震発生後4月16日9時に要請があり、14時に飯塚市を出発、17時半に熊本県荒尾市に到着し、翌17日朝より甚大な被害を被った益城町で活動開始。熊本JMAT、医師会の災害支援隊の支援を受け、益城町の保健福祉センターに設置された災害対策本部で調査を行う予定だったが、現場の状況が逼迫しており、急きょJMAT隊員として避難所巡回・救護所診療を補助した。避難所巡回では避難者に声掛けし、医療的ニーズがあれば救護所へ案内し、医療的に困っている方々のヒアリングと必要な対応を行った。
 活動を通じて、支援者としてのチームマネジメントを強く意識したと、「油断大敵」「程度大切」というキーワードを提示した。「油断大敵」は、例えば自給自足の準備をしていく、二次災害にあわないようルート選びをすることなどが重要だが、非常に難しいと実感したという。「程度大切」は、現場の指示系統に負担をかけないよう、現地が必要とすることを一人で安請け合いすることなく、組織的・長期的に請け負うこと。しかしこれも実践することの難しさを痛感したそうだ。
 また、震災直後に現地入りした支援活動中、今回のように強い地震が何度も続くと、救援者も疲労が蓄積すること、また急性期から慢性期への移行はシミュレーション通りにはいかないことを指摘し、いかに刻々と変化する状況をつかみ、対応していけるかが課題とした。

 これらの発表の後、フロアより熊本市内にある朝日野総合病院病院長・野村一俊さんが、自院の被災状況と対応について述べた。病院の建物はそれほど被害がなかったが、ガスや水道等のインフラが使用できず、貯水タンクも破損したため、病棟から水を持ってくることで何とか対応できた。また、近隣病院から救急車で患者が大勢運ばれてきた際に大活躍したのはリハビリスタッフで、患者搬送・病棟移送・水運びなどの仕事を担ってくれていたという。民間病院ではなかなか十分に災害訓練を実施しきれないかもしれないが、細かな想定をして、震災に備えておかなければならないと、強調した。
 最後に、司会の十時ととき忠秀さん(佐賀国際重粒子線がん治療財団名誉理事長、福岡女学院理事長)が、ある病院を例に挙げて、建築の免震の重要性に触れた。また、復興まで相当長期化しそうな中、今後は心のケア等に医療界が携わる必要があると述べた。



*文中略語
DMAT(Disaster Medical Assistance Team) 災害派遣医療チーム
PCAT(Primary Care for All) 東日本大震災支援プロジェクト
JMAT(Japan Medical Association Team) 日本医師会災害医療チーム
EMIS(Emergency Medical Information System) 広域災害救急医療システム


この記事は『ナーシングビジネス10巻7号』(2016年6月1日発行)に掲載予定です。

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