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7回 確認テスト 
第5章 術後合併症予防と発症時の援助 1.肺合併症/2.循環器合併症/3.術後腸閉塞(イレウス)


以下の〔  〕内に適当な語句を入れなさい.

 

1.術後の肺合併症で頻度が高いものは,〔 無気肺 〕,〔 肺炎 〕,〔 肺水腫 〕である.

2.〔 無気肺 〕は,全身麻酔による気管内挿管や吸入麻酔ガスの刺激で,気管内分泌物が増加し,肺胞腔内に貯留して,空気の流入が妨げられ虚脱した状態である.術後3日以内に発症しやすい.また,この貯留した分泌物内で病原微生物が増殖すると,術後3〜5日ごろに〔 肺炎 〕を発症する.

3.〔 肺水腫 〕は,肺毛細血管静水圧や中心静脈圧の上昇,血漿膠質浸透圧の低下,肺毛細血管壁透過性亢進などの原因によって,肺胞腔内にまで液体成分が貯留し,換気が妨げられた状態である.麻酔終了後30分以内に発症しやすい.

4.無気肺・肺炎の予防は,周手術期を通して患者の肺合併症のリスクをアセスメントし,適切な援助を選択的に行うことである.術前から肺機能検査で〔 閉塞性障害 〕や〔 拘束性障害 〕が認められるときは,呼吸の生理的機能を高めるために,〔 呼吸訓練補助器具 〕を用いた呼吸法や深呼吸などの肺理学療法を行う.

5.肺合併症出現時は,〔 気管内分泌物 〕の喀出と肺胞での酸素化を促進する援助が基本である.予防のための援助の継続に加えて,〔 動脈血酸素飽和度 〕をモニタリングしながら,超音波ネブライザーによる薬物療法や体位ドレナージ,呼気圧迫法(スクイージング)などの理学療法を組み合わせることによって,気管内分泌物の喀出を促す.

6.術後は,手術や麻酔の侵襲によって,〔 不整脈 〕や〔 ショック 〕,虚血性心疾患,急性心不全などの循環器合併症を起こしやすい.

7.〔 不整脈 〕は,低酸素血症,アシドーシス,脱水,電解質バランスの異常などで発症する.術後に最も発症しやすい不整脈は,〔 頻脈 〕である.

8.〔 ショック 〕は,組織を還流する血流が低下して,正常な細胞活動を維持できなくなった状態で,蒼白,虚脱,冷汗,脈拍触知不良,呼吸不全の5徴候を示す.術後に最も多いのは,出血による〔 循環血液量減少性ショック 〕であるが,術中の多量の不感蒸泄,術後のサードスペースへの水分移動などでも発症する.

9.心原性ショックは,心収縮力や心拍数の低下が原因で発症する.最も頻度が高い原因は〔 心筋梗塞 〕であり,術後3日以内に起こることが多い.主な症状は,胸痛,不整脈,血圧低下などである.

10.循環器合併症予防のための援助は,循環のモニタリングと輸液管理による〔 体液平衡 〕の調整である.

11.輸液管理では,循環のモニタリングとあわせて,1日のin-take量とout-put量や電解質バランスを確認しながら,輸液の滴下速度や量を適切に守ることが重要である.侵襲の大きい術後は,〔 輸液ポンプ 〕や〔 シリンジポンプ 〕などを使用し,正確に管理する.

12.〔 心電図モニター 〕上で危険な不整脈や虚血性心疾患などの徴候が確認された場合は,患者の症状や様子,血圧を観察し,12誘導心電図の記録をとるとともに医師に報告する.さらに医師の指示に対応するために,抗不整脈薬や心臓の異常興奮を抑制する〔 除細動器 〕などを準備する.

13.ショックの初期症状が出現した場合は,医師に報告する.循環血液量減少性ショックの場合は,膝を伸ばしたまま下肢を30〜45°挙上した〔 ショック体位 〕をとり,指示された輸液や輸血の投与,酸素吸入,循環維持薬の準備を行う.

14.イレウスは,機械的イレウスと機能的イレウスに大きく分類できる.機械的イレウスは,腸管の血行障害を伴う〔 複雑性 〕(絞扼性)と血行障害を伴わない〔 単純性 〕に,機能的イレウスは,腸管運動の低下による〔 麻痺性 〕と腸管の痙攣による〔 痙攣性 〕に分類できる.

15.術後イレウスは,術後1カ月以内に,癒着が原因で起こる〔 単純性 〕と〔 麻痺性 〕が大部分である.共通の症状は,腸内容物の通過障害により,腸管が異常に拡張したことで起こる腹部膨満感や腹痛,嘔吐などである.

16.術後イレウスの予防は,生理的腸管麻痺の回復状況や術後イレウスの徴候をモニタリングしながら,〔 ドレナージの管理 〕,腸蠕動促進のための援助を行い,回復した腸管の機能を維持することである.

17.〔 イレウス 〕の保存的治療は,①絶飲食,②胃・腸管内吸引による減圧,③水分・電解質の喪失に対する輸液療法,④絶飲食による低タンパク血症改善のための中心静脈栄養などである.胃・腸管内の減圧を行う治療の一つとして,〔 イレウス管 〕が挿入される.